
Excelマクロに潜むリスクとは?
VBAとマクロの基本概念
Excelで使用されるマクロは、VBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語を基盤に構築されています。マクロ機能を使うことで、事前に設定した作業・動作を簡単に実行させることができます。VBAにて作成されたマクロは業務の自動化を実現する便利なツールであり、データ処理や集計、ファイル操作などを効率的に行うことができます。このような機能を活用することで、数時間かかる作業を数分で完了させることができます。
しかし、その柔軟性の高さは同時にリスクも伴います。適切な知識や管理が欠けると、業務プロセスが属人的になったり、セキュリティ上の問題が発生する危険性があります。特に、不特定多数が利用する環境では、より注意が必要です。
マクロウイルスの仕組みと危険性
マクロウイルスは、VBAコードを悪用して拡散するマルウェアの一種です。攻撃者は、マクロ機能を使って意図的に悪意のあるコードをファイルに仕込み、ユーザーの実行をトリガーとしてウイルスを拡散させます。たとえば、感染したファイルを開くと知らない間に他のファイルやシステムに影響を及ぼすケースがあります。
過去には、メールに添付されたExcelやWordのファイルを通じてマクロウイルスが拡散し、多くの企業や個人に深刻なダメージを与えた事例もあります。こうした危険性があるため、マクロ機能を使う際にはセキュリティ対策を徹底することが重要です。
インターネット経由のマクロのリスク
インターネットを通じて配布されるマクロファイルには注意が必要です。特に、「インターネットからのマクロを既定でブロック」というマイクロソフトのセキュリティ機能が設けられるほど、外部から提供されるファイルには危険が潜んでいます。
例えば、不審なメールに添付されたExcelファイルを不用意に開くと、マルウェアがシステムに侵入するケースがあります。このため、外部からダウンロードしたファイルは必ず発行者を確認し、安全性を確認する習慣を持つことが大切です。
過去の事例から学ぶ被害の実態
過去には、Excelマクロを悪用したサイバー攻撃によって多額の損失が発生した事例が報告されています。代表的な例として、特定の業界を標的にした「スピアフィッシング」の手法が挙げられます。この攻撃では、巧妙に作られた信頼性の高そうなメールに感染ファイルが添付され、被害者がファイルを開くと内部の情報が盗まれる被害が発生しました。
これらの事例から、「見知らぬ送信者からのメールを安易に開かない」「正規のデジタル署名を持たないファイルを実行しない」といった基本的なセキュリティ意識を保つことの重要性が学べます。
リスクを高める誤ったマクロの使い方
マクロの利用が危険になる原因の一つに、誤った使い方があります。たとえば、マクロを利用して重要な業務プロセスを完全に属人化してしまうケースがあります。この場合、特定の従業員にしか分からない仕組みとなり、トラブル時に速やかな対応ができなくなることがあります。
また、マクロを安易に外部に共有することもリスクを高める要因の一つです。デリケートな内容を含むマクロファイルを第三者に渡すことで、情報漏洩やマルウェア感染の危険があります。これらの問題を回避するためには、マクロの管理と利用方法について計画的に取り組むことが不可欠です。
Excelマクロのセキュリティ設定を知ろう
信頼できる発行元とは?
Excelマクロを活用する際には、まず信頼できる発行元かどうかを確認することが大切です。多くの業務で使用されるマクロは、VBAで記述されたコードが動作する仕組みですが、マルウェアやマクロウイルスが仕込まれている可能性も否定できません。そのため、発行元が正規の企業や開発者であることを確認することが不可欠です。マイクロソフトではデジタル署名を利用して信頼性を証明する仕組みを提供しており、この署名付きのマクロのみを許可することで、不審なソフトや危険なファイルを実行してしまうリスクを軽減できます。
マクロの自動実行を防ぐ設定
セキュリティ対策として、Excelが提供する「マクロの自動実行を無効化する設定」を使用しましょう。この操作は、意図せず危険なコードが実行されることを防ぐために非常に重要です。設定を変更することで、インターネットからダウンロードしたファイルや未知のマクロが含まれるExcelファイルを開いた際、自動的にマクロが実行されないように制御できます。これにより、既知・未知問わずマクロウイルスのリスクを大幅に減らすことができます。
マクロ実行をブロックする機能の活用
マイクロソフトのOffice製品には、インターネットからダウンロードしたファイルに含まれるマクロを既定でブロックする「マクロ実行ブロック機能」が搭載されています。この機能を活用することで、外部からダウンロードされた自動化コードの危険性を回避できます。このような仕組みを組織全体で導入し、セキュリティポリシーに反映させることは、特に業務でExcelを頻繁に使用する企業やチームにとって必須の施策です。
Officeのセキュリティ機能を最大限に活用する
Excelを含むOffice製品には、多くのセキュリティ機能が用意されています。例えば、信頼できる場所に登録されていないファイルはマクロが無効化される設定や、高度なセキュリティオプションによる保護が可能です。また、「添付ファイルを開く際の警告表示」などを設定しておくことで、利用者が危険性を認識しやすくなります。これらの機能を理解し、適切に操作することで、業務効率化を目指しながらも安全性を確保できます。
マクロを有効にする際の注意点
マクロを有効にする場合は、そのファイルが信頼できるものであることを確認することが重要です。具体的には、発行元の正当性をチェックし、不必要なマクロが含まれていないかを検証します。また、業務で使用するマクロは必ずチームや上長の承認を得てから使用することで、責任の曖昧さを防ぎます。さらに、マクロの中には意図しない操作や危険な自動化が組み込まれている可能性もあるため、一度レビューを行ってから有効化することが推奨されます。このように慎重な対応が、セキュリティ事故を防ぐ上で不可欠です。
マクロ非搭載の互換オフィスソフトという選択肢
マクロウイルスを回避し、安全にオフィスソフトを使う方法の一つに、互換Officeソフトを利用するという選択肢があります。
キングソフトのWPS Officeは、「.xlsx」や「.docx」「.pptx」などのファイル形式を変えることなく、閲覧、編集、保存することができる互換Officeソフトです。
WPS Officeは「VBA」や「マクロ」機能、一部の「使用頻度の低い関数」には対応していないというデメリットがあります。ただし、対応していないことで、マクロを利用したウイルスファイルは基本的には動作せず、セキュリティの面でも安全にオフィスファイルを編集できるというメリットにもなります。
※マクロとは異なる仕組みを悪用したマルウェアの場合、マクロ機能がないOfficeソフトであっても、ファイルを開く(または埋め込まれたオブジェクトを実行する)ことで感染する可能性があります。
WPS Officeに興味がある方は30日間無料の体験版ぼご利用いただけます。ぜひこの機会にお試しください。